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ホテルSNS運用の落とし穴|Instagramで集客に失敗する理由と解決策

ここ数年、多くのホテルや旅館が公式Instagramアカウントを開設するようになりました。

社長や支配人から「SNSで集客を強化しよう」という声が上がり、急遽アカウントを立ち上げるケースも珍しくありません。

しかし、実際に運用を始めてみると「フォロワーが増えない」「予約につながらない」という悩みが出てきて、数か月後には更新が止まってしまう……。そんな事例は業界内でもよく耳にします。では、なぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか。

この記事では、その理由と解決策を紹介します。

Instagramで集客に失敗する6つの理由

1.「ホテルが伝えたいこと」を優先した結果

最もよく見られるのが、発信内容がホテル側の視点に偏ってしまうケースです。

館内の設備紹介や季節の料理、新しい宿泊プランなどはもちろん大事な情報ですが、それだけを並べてもフォロワーにとっての「見たい・知りたい・共有したい」といった価値にはなりにくいのです。

Instagramは本来、旅行者の興味やライフスタイルに寄り添った発信が好まれます。ターゲットが「自分ごと」として感じられるかどうかがポイントであり、ホテルが伝えたいことと利用者が知りたいことの間にずれがあると、フォロワー数は伸びにくくなります。

2. 若い世代の広告不信と公式アカウントの壁

Instagramを積極的に使っている中心層は20代〜30代のミレニアル世代やZ世代です。彼らは企業からの一方的な宣伝に対して敏感で、「また広告か」と受け止めやすい傾向があります。

公式アカウントが「おすすめです」「ぜひご利用ください」といった文言を繰り返すと、それだけで距離を置かれてしまうこともあります。

宣伝一辺倒ではなく、旅行者が「このホテルに泊まったらどんな体験ができるのか」を想像できる投稿が求められています。

3. 始めたはいいが、すぐにネタ切れ

アカウントを立ち上げた当初は、客室やレストラン、ロビーなどの写真を順に投稿していけるため、順調に見えます。ところが数週間、数か月と経つうちに「もう載せる写真がない」という状況に陥るホテルは少なくありません。

結果として、敷地内の花や近隣の風景など「きれいだけれど宿泊動機につながらない写真」が増え、フォロワーの関心を引けなくなります。コンテンツの計画を持たずにスタートしてしまうと、この「ネタ切れ問題」にぶつかりやすくなります。

4. 更新頻度の低下と放置状態

ネタ切れや担当者の多忙により、更新頻度が徐々に落ち込み、最終的に数か月単位で放置されるケースもよくあります。一度止まってしまったアカウントは、アルゴリズム上も優先的に表示されにくくなり、フォロワーの関心からも外れていきます。

さらに「このホテル、もう運営していないのでは?」といった不安を与えるリスクすらあり、逆効果になる可能性もあります。

5. プロに委託しても成果が出ないことも

「やはり素人では難しい」と考え、外部のSNS運用会社に委託するホテルもあります。確かに写真や文章のクオリティは向上しますが、宿泊予約や売上に直結しない場合も多いのが実情です。

見栄えは良くなっても「フォロワーが増えたけど予約にはつながらない」というギャップが生じ、費用対効果に疑問を持たれるケースも少なくありません。

6. 「ブランディングだから」で片付けられない現実

Instagramは長期的なブランドイメージづくりには有効です。しかし、地方の中規模ホテルや小規模旅館にとっては「ブランディングだから」という割り切りが難しい現実があります。

稼働率や直予約の増加といった即効性が求められる状況で、効果が見えにくいSNS施策は、真っ先に予算削減の対象になりがちです。

Instagramで集客に失敗する本当の理由まとめ

こうした失敗パターンの根本には、次のような要素があります。

● 長期的なコンテンツ計画がない
● 誰に向けて発信しているのかが不明確
● 宿泊者目線ではなく
ホテル側の視点に偏っている
● 担当者任せの体制で、更新ルールが存在しない
● フォロワー数以外の成果指標が設定されていない

このままでは「やっているけれど結果につながらない」状態が続き、担当者も疲弊してしまいます。

ここからは「成果につながるInstagram運用」の具体的な考え方や実践ポイントをご紹介します。

予約と売上につながるInstagram運用施策

多くのホテル公式Instagramが形骸化してしまう理由を振り返りました。では逆に、うまくいっている施設はどんな工夫をしているのでしょうか。共通しているのは、「ホテルが伝えたいこと」ではなく「宿泊者が知りたいこと」を出発点にしていることです。

1. 視点を「ホテル側」から「宿泊者側」へ

公式アカウントを効果的に活用している施設は、どれも“宿泊者目線”でコンテンツを設計しています。旅行者が知りたいのは「このホテルに泊まったらどんな体験ができるのか」ということ。

例えば、無人の客室の写真よりも、同じ年代のカップルやファミリーがベッドでくつろいでいるシーンの方が、見る人は自分を重ねやすくなります。レストランの料理写真も、テーブルを囲んで笑顔で食事している様子があると、よりリアルに伝わります。

Instagramは現代版の「ビジュアル口コミ」とも言える存在。体験価値を可視化する場だと考えると、自然と発信の方向性が見えてきます。

2. 宿泊者やインフルエンサーの投稿を活用する

公式アカウントだけで全ての素材を作ろうとすると、どうしても限界が出てきます。そこで活用したいのがUGC(ユーザー生成コンテンツ)です。

● 宿泊者の投稿をリポストする
● 宿泊体験の感想を文章と一緒にシェアする
● 「#◯◯ホテル(自施設名」といったハッシュタグを作り、宿泊利用者の投稿を集める

こうした取り組みは、宿泊者にとっても「自分の体験が認められた」という喜びにつながり、口コミ拡散の後押しになります。写真や動画のリアリティが高まる分、フォロワーにとっても魅力的に映ります。

3. 物語を添えて「体験」を伝える

単なる写真の投稿ではなく、「どんな時間を過ごせるのか」をコメントと一緒に伝えると、フォロワーの想像力を刺激できます。

● 朝食ビュッフェ → 「窓から差し込む朝日を浴びながら、地元産フルーツを添えたワッフルを味わう贅沢な時間」
● 温泉の写真 → 「チェックアウト前にひとっ風呂。朝の静けさが心地よくて旅の余韻に浸れる」

ちょっとした言葉の添え方で、写真が“旅の体験イメージ”に変わります。

4. ターゲットに近い人物像を登場させる

写真や動画に登場する人物像は、ターゲット層と重なる方がより効果的です。20代カップルを呼び込みたいなら同世代のカップルが登場するのが自然ですし、ファミリー層がターゲットなら子ども連れの写真が響きます。

モデルでなくてもスタッフやモニター宿泊者でも問題ありません。大事なのは「フォロワーが自分ごととしてイメージできること」です。

5. ハッシュタグ戦略で検索からの流入を増やす

Instagramは写真を楽しむだけでなく、検索ツールとしても使われています。「#◯◯温泉女子旅」「#◯◯ホテル朝食」のように、地域名+体験を組み合わせたハッシュタグを用意し、継続的に発信するのがポイントです。

宿泊者やインフルエンサーにも同じタグを使ってもらうと、関連投稿が自然に増え、検索からの流入が期待できます。

成果につながるInstagram運用まとめ

成果につながるInstagram運用には、次の3つの視点が欠かせません。

● 宿泊者目線で「どんな体験ができるか」を伝える
● UGCの活用でリアルさと継続性を確保する
● ストーリーやハッシュタグで検索経由の流入を取り込む

これらを取り入れるだけでも、フォロワーとの関係性は大きく変わってきます。

続いては、運用を継続させるための工夫や、インフルエンサーとの協業方法、公式アカウントのブランディングについてまとめます。

継続的に運用するためにできる工夫

1. 投稿スケジュールを決める

Instagramアカウントが止まってしまう最大の理由は「ネタ切れ」と「時間不足」です。そこでおすすめなのが、投稿スケジュールをあらかじめ決めてしまう方法です。

例えば、

月曜は「館内の様子」
木曜は「季節の料理」
土曜は「周辺観光情報」

といった具合にテーマを固定しておけば、更新が習慣化しやすくなります。週2〜3回の更新を目安にするのが無理のないペースです。

また、ストーリーズやリール動画を活用することで「リアルタイム感」を演出できます。日常的な小さな出来事を軽く発信するだけでも、フォロワーにとっては親近感を感じられるきっかけになります。

2. フォロワー参加型の仕掛けを用意する

一方的に投稿を届けるだけでなく、フォロワーが参加できる仕組みを用意するとエンゲージメントが高まります

●「宿泊者フォトコンテスト」を開催して投稿を募集
●「#◯◯ホテル旅」などのオリジナルハッシュタグで体験を共有してもらう
●「宿泊者の体験談」を募集して公式アカウントで紹介する

こうした仕掛けは、参加者にとって「自分が関わっている」という感覚を持ってもらえるため、自然な形で口コミ拡散につながります。

3. 旅系インフルエンサーと協業する

「インフルエンサー」と聞くと、フォロワー数が多い人を思い浮かべがちですが、大切なのは共感性や信頼性です。

旅行系インフルエンサーの中には、派手さ、豪華さよりも「泊まって良かった点」を丁寧に伝えるタイプの方が多くいます。そのようなインフルエンサーは、フォロワーも旅行志向が強いことが多く、予約につながりやすいのが特徴です。

起用する際は、フォロワー数ではなく「エンゲージメント率」を重視すると安心です。目安としては5〜7%程度。

コメント欄を見れば「本当にフォロワーが興味を持っているのか」も判断できます。いいねが多くても、反応が薄ければ集客にはつながりにくいことが多いです。

このようなインフルエンサーの投稿をリポストすることで公式アカウントが充実していきます。

UNFEE では、旅系やライフスタイル系など、審査を通過したインフルエンサーだけを無料で探すことができます。

4. 実際の成果に結びつけるために公式サイトへの導線を設計する

Instagramはあくまで「入口」に過ぎません。最終的なゴールは公式サイトでの予約です。

● プロフィール欄に予約サイトへのリンクを設置
● 投稿やストーリーズから「公式サイト限定プラン」に誘導
● 「フォロワー特典」などを用意して直接予約を促す

といった工夫が大切です。自社での予約を増やす仕組みを意識することで、利益率の改善にもつながります。

継続的に運用するためにできる工夫まとめ

ここまで見てきたように、成果につながるInstagram運用のカギは次の4点です。

● 投稿スケジュールやテーマを決めて、継続的に発信する
● フォロワー参加型のキャンペーンでエンゲージメントを高める
● 信頼性のある旅系インフルエンサーと協業し、素材を広告にも活用する
● Instagramから公式サイトへスムーズに導線をつなげる

これらを積み重ねることで、「フォロワーが増えない」「予約につながらない」といった悩みを解消しやすくなります。

公式Instagramアカウントのブランディングの方法

1. 投稿一覧で世界観を表現する

特に高級ホテル、高級旅館はブランドイメージにこだわっている施設も多いと思います。

Instagramは写真単体だけでなく、プロフィールページに並んだ投稿全体「施設の世界観」を表します。

ここで印象が統一されていると、初めて訪れたユーザーに強い印象を与えやすくなります。

● 色調やトーンを揃える
● フィルターの使い方を統一する
● 施設の雰囲気に合った構図や視点を心がける

といった工夫で「このホテルらしさ」を一目で感じてもらうことができます。

ぜひ、下記のホテルのInstagramアカウントプロフィールを参考にしてみてください。

2. ストーリー性のあるビジュアル表現

単なる客室や食事の写真を並べるだけでは、情報で終わってしまいます。そこに「体験の情景」を重ねることで、フォロワーは自分自身をその場に重ねて想像しやすくなります。

● 朝食ビュッフェの写真に「窓から差し込む光と地元フルーツの甘さで始まる一日」という一文を添える
● 温泉の写真に「湯けむりの向こうで川のせせらぎが響く静かな時間」と表現する

このような文章を加えることで、写真だけでは伝わりにくい“空気感”を届けることができます。

3. ハッシュタグの一貫性

検索からの流入を狙うなら、ハッシュタグ戦略も外せません。

地域名と体験を掛け合わせたタグを作り、一貫して使い続けることが効果的です。

#◯◯ホテルステイ
#◯◯温泉トリップ
#◯◯ホテルブランチ

さらに、宿泊者やインフルエンサーにも同じタグを使ってもらうことで、自然に関連投稿が集まり、検索結果でも目立つようになります。

4. UGCとインフルエンサー投稿の再構成

集まったユーザー投稿やインフルエンサーの写真を、そのまま流すだけでなく、アカウント全体の雰囲気に合わせて再構成していくことが大切です。

色調を揃えたり、紹介文を加えたりすることで、雑多な投稿も「ブランドの一部」として調和させることができます。こうした積み重ねが、アカウントを単なる広報ツールではなく「ビジュアルアーカイブ」へと育てていきます。

公式Instagramアカウントのブランディングの方法まとめ

Instagramは即効性のある販促ツールというよりも、中長期的に「このホテルに泊まりたい」と思ってもらうファン層を育てる場です。定期的な発信、世界観の統一、宿泊者参加型の仕掛けを継続していくことで、ホテルや旅館の「らしさ」がじわじわと浸透し、結果としてリピーターや指名予約の増加につながります。

● ビジュアルのトーンを統一して世界観を整える
● 写真と一緒に情景を描写して体験を伝える
● ハッシュタグを一貫して使い、検索からの流入を育てる
● UGCやインフルエンサー投稿を整理してブランドアーカイブ化する

こうした取り組みはすぐに数字として現れるものではありませんが、時間をかけて取り組むことで、「このホテルのInstagramは見るだけで泊まりたくなる」と感じてもらえる存在になっていきます。

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