ホテル集客においてSNSの活用は今や欠かせない戦略です。特にInstagramやTikTokが華やかなビジュアル訴求で注目を集める一方、X(旧Twitter)は「速報性」「拡散力」「検索性」に優れ、宿泊施設の集客・PRに依然として有効な媒体です。とはいえ、成果を出すためにはフォロワー数の多さよりも「どの層に届いているか」を見極めることが重要です。本記事では、ホテル経営者が知っておくべきXインフルエンサー活用の実務ポイントを整理します。
成功するXインフルエンサーの特徴
1. 専門性が明確
「温泉宿×サウナ」「航空券セール速報」などテーマが一貫しているアカウントは、フォロワーが何を期待しているか明確です。結果として拡散力が高く、予約にもつながりやすい傾向があります。
2. 実体験に基づく投稿
「3年間で470泊」「年180回サウナ」など、自腹体験や数値データを交えた発信は信頼性が高く、宿泊検討者に刺さりやすいです。口コミ効果に近く、予約率に直結します。
3. フォロワーとの双方向性
コメントや引用ポストでの対話を欠かさないアカウントはファン化が進み、PR投稿も自然に受け入れられます。双方向性は「広告色の薄さ」と「信頼性」に直結します。
4. 速報性のある情報発信
「楽天スーパーSALE」「航空券セール」など即時性のある情報を扱うアカウントは、閑散期の集客に強い武器になります。ユーザーは「今しかない」お得情報に反応しやすいのです。
避けた方が良いXインフルエンサーの特徴
1. PR色が強すぎる
広告投稿ばかりのアカウントは「宣伝臭い」と見られ、フォロワーのエンゲージメントが下がります。宿泊予約には結びつきにくいパターンです。
2. フォロワー数が実態を伴わない
相互フォロー企画や抽選企画で数字を水増ししただけのフォロワーは旅行に興味が薄く、実際の予約に影響を与えません。
3. 投稿テーマが散漫
「日常」「グルメ」「雑記」などテーマが混在していると、旅行関連投稿が埋もれやすく、PR効果も限定的になります。
4. 他者紹介を過剰に推す
自分の影響力不足を隠し「知り合いを紹介したい」と提案するケースもあります。必ずしも悪意とは限りませんが、そのようなインフルエンサーに集客効果は望めないうえ、紹介料目的で成果につながらない人材を勧められるリスクもあります。
契約時に押さえるべきポイント
1. 投稿スタイルと施設の相性
| ・ 閑散期販売 → SALE・クーポン速報型で短期集客を狙う ・ 高単価なヴィラ → 滞在レビュー型・ストーリー型が有効 ・ 新規開業ホテル → 「観光地+宿」まとめ型で検索流入を獲得 | 
特に価格訴求系や新規開業系の投稿は拡散されやすく、予約に結び付くことが多い傾向があります。
2. 成果指標(KPI)の設定
| ・ インプレッション数 ・ リンククリック数 ・ 予約サイトへの遷移数 | 
これらを事前に合意しておくことで、成果の有無を数値で判断できます。
3. 撮影素材の利用可否
インフルエンサーが撮影した写真や動画を自社広告に活用できるかどうかは費用対効果に直結します。利用範囲は契約前に必ず明確にしておきましょう。
成功する運用プロセス
Xインフルエンサーの活用を成功させるには、以下の運用プロセスが効果的です。
| 1. 目的設定:「閑散期稼働率改善」「ブランド強化」などゴールを明確にする 2. 選定基準:フォロワー属性・投稿スタイル・エンゲージメントを分析する 3. 施設USPの共有:立地、体験価値。特徴を伝え、発信に反映させる 4. データ検証:投稿後の数値を必ず記録、分析する 5. 継続的依頼:単発で終わらせず、定期的に依頼し関係性を強化する | 
こうしたプロセスを回すことで、インフルエンサーは広告枠を超え、施設の成長を支えるパートナーになります。
ここで、このプロセスをきちんと踏まなかった場合の失敗事例を見てみましょう。関東近郊のラグジュアリーヴィラは、40万円を投じたものの効果を感じられず失敗に至った経緯を改善策とともに解説します。
【失敗事例】関東近郊のラグジュアリーヴィラの実例を検証!効果が出なかった理由
1. 失敗事例の概要

| 施設タイプ:関東近郊のラグジュアリーヴィラ ターゲット層:富裕層ファミリー・カップル 依頼内容:宿泊体験+X(旧Twitter)での複数投稿 フォロワー数:約10万人 費用:約40万円 成果:いいねやリポストはあったが、予約はほぼゼロ | 
2. なぜ効果が出なかったのか
フォロワー数とリーチ数の乖離=フォロワー数が多ければ良いわけではない
フォロワー数は10万人以上でしたが、投稿1本あたりのリーチ数は平均1,000程度。
リーチ率にするとわずか1%程度の投稿が普段から多く、フォロワー数を基準に費用を算定した結果、そもそも広告効果と費用のバランスが崩れていた。
フォロワー属性の不一致=フォロワーが自分ごととして感じられない
フォロワーの多くは「ホテル情報を眺めて楽しむ層」であり、実際に10万円クラスのヴィラを予約する富裕層層とは異なっていました。「いいね」は若干、発生したものの、予約には直結しませんでした。
動画投稿内容が不十分=施設の差別化につながらない
インフルエンサーは動画も制作しましたが、施設のUSP(独自性)が十分に表現されていませんでした。「雰囲気は伝わるが、なぜここを選ぶべきか」が伝わらず、富裕層の意思決定を後押しできませんでした。
KPIと契約設計の不足
依頼時に予約件数やクリック数といった成果指標を設定しなかったため、目に見えた効果を感じられませんでした。
このように、依頼者の準備不足が「高額を払っても成果が出ない」という典型的な失敗を招いたことから、依頼者側の責任の大きさも痛感した事例となりました。
3. このケースでXで成果を出すためには
今回の事例では、以下の条件をクリアにしておくべきだったといえます。
● 富裕層に届くフォロワー基盤
単にフォロワー数が多いだけでなく、富裕層や旅行意欲層が多いアカウントを選定する必要があります。
● 比較型・まとめ型の投稿スタイル
実際にフォロワーが旅行を検討しているための参考にしているアカウントが多い傾向があります。
● 「関東近郊のプライベートヴィラ5選」など検討段階のユーザーに刺さる投稿が効果的
まとめ系の投稿は「次に旅行に行くときの参考にしよう」という感情が芽生えやすく、旅行検討をするフォロワーが増える傾向があります。インスタグラムも同様の傾向があります。
● 明確な導線設計
予約ページや公式サイトへのリンクを積極的に活用し、行動につなげる設計が欠かせません。X(旧:Twitter)はURLのリンクを自由に設定できるため、直線的な予約導線の設定が可能です。
● 施設USPを明確に伝える
単なる宿泊体験記ではなく「ここならではの価値」を言語化できるインフルエンサーが求められます。USPは「施設の外観」、「食事のボリュームや“こだわり”」、「インパクトのある温泉風呂や絶景」などが該当します。
4. 失敗から得た学びと改善策
今回の失敗事例から、以下の改善策を得られました。
● フォロワー数よりリーチ数を評価
● 過去投稿の平均リーチ数やエンゲージメント率を必ず確認する
● 施設の強みを整理してインフルエンサーに共有
● 「立地」「非日常体験」「価格に見合う価値」などを明確に伝え、投稿に反映してもらう
● 契約設計を数値化
インフルエンサー選びの際は、リーチ数やエンゲージメント数を重視すること。そして、自社施設の強みをわかりやすく明示化し伝えることが重要です。そして、クリック数や予約数をKPIに設定し、費用対効果を明確にすると成果が明確になります。
5. 実際に効果があったインフルエンサー例
次に、実際に予約数に効果があったX(旧:Twitter)のインフルエンサーの方を紹介します。
「俺/コスパ最高のホテル&サウナ」さん
| (プロフィール) どうも、俺です。旅行や休日に行きたいコスパ最高のホテル・憧れの極上宿・サウナをご紹介✈️ホテルに5年で600泊以上、サウナは累計600施設訪問の自腹ガチ勢。フォローすると、ホテル選びの悩みがなくなる…!※企業案件は必ず「PR」と付けてるヨ 👉 アカウント:https://x.com/ore_ikitai | 
フォロワーは 42万人超。国内旅行ジャンルにおいて、Xを代表する人気インフルエンサーの一人です。宿泊検討層のフォロワーが多く、アクティブな発信で高い影響力を持っています。
弊社での事例
2023年6月と2024年6月の旅行閑散期に、千葉県鴨川市にあるプライベートプール付きヴィラ「オーシャンVilla藍水(全6棟)」 での投稿を依頼しました。
閑散期の対策として「20%OFFの価格訴求型宿泊プラン」をご用意し、インフルエンサーに発信していただいたところ、 投稿直後から予約数が目に見えて増加しました。
計測期間:約1か月間
予約件数:50〜60件に到達
リーチ数:20万件超
という成果につながり、施設の認知度アップにも大きな効果がありました。
まとめ
事例から分かるように、影響力の大きいインフルエンサーとの連携は、閑散期の稼働率改善や新規顧客層への認知拡大に直結します。特に、価格訴求プランと組み合わせた発信は、即効性のある集客施策として有効であることが実証されました。
他にも数名、実際に予約獲得効果があったインフルエンサーがいらっしゃいます。
ご興味がある施設様はお取次ぎも可能ですので、お声掛けください。
(弊社はインフルエンサーの紹介にあたり、紹介料をいただくようなことはしておりません。)

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