京都・天橋立の穏やかな海辺に佇む「天橋立離宮 星音(ほしのおと)」は、“地方から世界基準のラグジュアリーを”というテーマを掲げて2017年4月に誕生しました。
地方旅館の新しい方向性を模索しながら、建築や料理、接客、空間演出といったすべての要素を「非日常」という一つの世界観で統合した世界基準の高級旅館です。
“非日常”を一つの世界観で統合

星音は、7室すべてが離れ構造になっており、全室にプライベートプールを備えています。
また、2種類の源泉(茶褐色の湯と透明泉)を引き込み、各客室で独立した循環を行う設計を採用しています。
茶褐色の湯は完全換水方式とし、快適性と衛生面の両立を重視しています。


インテリアはブラックプールを中心にダークトーンで統一され、「冬季にも選ばれる宿」を意識して夏らしさを抑えた落ち着いた色調としています。
華美ではなく、静かに過ごすための空間設計が特徴です。







地元の鮮魚を活かす“イノベーティブ”な料理



料理は、京都府北部の漁港で水揚げされる新鮮な魚介を中心に構成しています。
「間人蟹(たいざがに)」と呼ばれる希少なブランド蟹をはじめ、地元の旬魚を用いた創作的なコース料理を提供しています。

施設内には大型水槽を設置し、自社グループの宿泊施設とも連携。
松葉ガニなどの高鮮度食材を安定的に供給できる仕組みを整えています。
単に料理を提供するだけでなく、安定供給の仕組みまで設計する点が特徴です。
台湾富裕層市場の開拓ストーリー
星音では、開業初期から海外市場を意識した取り組みを進めてきました。
2018年には代表が台湾を訪問し、富裕層向け旅行代理店との関係づくりを開始。
現地の経営者層を対象としたファムトリップ(視察旅行)を実施し、台湾のインフルエンサーにも宿泊体験を通じて発信してもらいました。
この取り組みにより、台湾・香港の旅行者を中心としたリピーターが増加し、地方にいながらも海外の顧客層にアクセスできる体制を整えることができました。
地方立地で年商3億円を実現
京都北部という地方立地にありながら、星音は年間約3億円の売上を記録しています。
特に冬季は関東圏からの宿泊客も多く、特に“カニシーズン”は高稼働を維持しています。
「大人専用」「離れ構造」「地元食材を活かした料理」という3つの要素を軸に、ターゲットを明確にした運営を行ってきました。
この結果、少室数でも高い単価と稼働率を維持する体制が整い、地方における宿泊経営における一つのモデルケースとなっています。
地方旅館の新しい指標として
星音の取り組みは、単に高級旅館としての成功にとどまらず、「地方から世界基準の宿を生み出す」という挑戦でもあります。
地域資源をどう磨き、どのように発信していくか――
その問いに対する一つの答えを、星音は示していると考えています。
今後も、デザイン・料理・海外集客といった要素を一体的に高めながら、地方宿泊業の新しい価値を探り続けていきたいと考えています。













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