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淡路島のヴィラ&グランピング開発、成功の設計図——地価・規制・運用まで

関西圏におけるリゾート開発の中でも、いま最も注目を集めているのが「淡路島」です。

神戸や大阪から車で1〜2時間圏内というアクセス性、海と山の両方を楽しめる自然環境、そして島全体の観光ブランド化が進んでいることが、投資家や開発事業者から高い関心を集める理由です。

実際、弊社グループにも淡路島におけるグランピングやバケーションレンタル開発のご相談が定期的にあります。

本稿では、当グループが淡路島で手がけてきた複数の開発事例をもとに、「取得・設計・運用・出口」を考えるための実践ポイントを整理します。

淡路島における開発実績の紹介

まずは、当グループが淡路島で展開してきた主要施設をご紹介します。

1. グランマーレ淡路(Glamp mare Awaji)

グランマーレ淡路
glampmareawaji

大阪湾を一望する高台に位置し、ドームテントとサファリテントを組み合わせた海辺のグランピング施設。中でもドームテント2棟を連結した「モルトドーム(8ベッド)」は1客室で年間売上4,000万円前後を記録。建築確認に対応したサファリテントを導入しており、法的安定性を確保した運営モデルとしても評価されています。

所在地:兵庫県淡路市釜口字津田2013
開業:2021年7月
運営:株式会社グランシーズ(弊社グループ)https://grand-seeds.com/

2. グランピングテラス淡路(Glamping Terrace Awaji)

グランピングテラス淡路
glampingterraceawaji

日本初の「ステラドーム」を導入したグランピング施設。トレーラー型宿泊施設の廃業跡地を活用。ダイヤモンドのような形状をしたステラドーム型は建築確認申請に対応しています。

所在地:兵庫県淡路市多賀2237
開業:2022年8月
運営:株式会社ジェントルライフ https://gentle-life.jp/accommodation-business/

3. ドッググランピング淡路厚浜

約1,000坪の敷地を1棟で贅沢に利用する愛犬家特化型グランピング。コンテナハウスを活用し、維持管理コストを抑えつつ高収益化を実現。年間稼働率は90%を超え、特にシニア層のリピーターが多い点が特徴です。

所在地:兵庫県洲本市厚浜
開業:2023年3月
運営:株式会社グランシーズ(弊社グループ)https://grand-seeds.com/

4. プライベートヴィラグランピング淡路

private villa glampingawaji

客室温泉・プライベートプールを備える全5棟のリゾートヴィラ。海を望む高台の立地を活かし、宿泊単価の高いヴィラ型グランピングとして展開。

所在地:淡路市大谷
開業:2023年8月
運営:株式会社グランシーズ(弊社グループ)https://grand-seeds.com/

5. シーサイドグランピング淡路

seasideglampingawaji

オーシャンフロントに立地し、中央に共有プールを備える映えるデザイン構成。トレーラーを活用してBBQスペースや水回りを効率化し、団体貸切プランにも対応。

所在地:淡路市生穂
開業:2024年7月
運営:株式会社グランシーズ(弊社グループ)https://grand-seeds.com/

(シーサイドグランピング淡路の画像)

6. レジデンスヴィラ淡路マーレ(Residence Villa AWAJI MARE)

awajimare
awajimare

淡路島南東部・由良の海辺に位置する高級バケーションレンタルヴィラ。本棟とANNEX棟(食体験・ペット対応)を組み合わせ、多世帯・愛犬家・長期滞在に対応する複合型ヴィラ。

Residence Villaシリーズの中でも、特に設計思想にこだわった事例。

所在地:洲本市由良
開業:2024年8月(一般販売は2025年予定)
運営:株式会社グランシーズ(弊社グループ)https://grand-seeds.com/

淡路島開発における“現実的な土台づくり”

淡路島でヴィラ・貸別荘開発を成功させるには、「地形・規制・コスト」の観点で以下の2点を冷静に見極める必要があります。

1. 市場実態:オーシャンフロントは希少資源

北部西海岸の整地済みオーシャンフロントは坪30万円超、条件次第では50万円に達します。高台のオーシャンビュー地でも坪15〜20万円が相場で、有望地は地元事業者の先買いで消えるケースが多いのが実情です。

土地の取得費が高額すぎて、行き詰る事例が最近は増加しています。

2. 建築費と島内施工リスク

淡路島では、職人・資材の輸送コストが上がりやすく、坪単価120〜180万円(高規格仕様の場合、200万円超)を想定するのが基本。島内施工では工期が長期化する傾向があり、外注コントロールと予備費設定(+10〜20%)が不可欠です。

淡路島でヴィラ・貸別荘開発の成功条件

ここからは、実際に企画や取得、運営を検討する際に押さえるべき「現実的な成功条件」を具体的に解説します。

1. 用地取得には柔軟な発想を ― 新築だけが解ではない

淡路島ではオーシャンフロント地の取得難度が年々高まっています。そのため、中古別荘のリノベーションや既存分譲地の再活用など、複数のルートを組み合わせる戦略が現実的です。

・中古別荘のリノベーション

利点:上水・排水などのインフラが既設である場合が多く、造成コストを抑えられる。
典型事例:RC構造の大型別荘を5,000〜6,000万円の改修で優良な施設化。または、築古木造の場合は解体費400〜500万円を見込み、立地条件が良ければ土地3,000万円以下で再構築可能。
注意点:既存不適格の可能性や、自然公園法による再建築制限を必ず事前に確認。

・既存分譲別荘地の再活用

既に法規やインフラ整備が完了しており、建築・許認可の見通しが立てやすいのが利点。再販市場の透明性も高く、出口戦略を描きやすい。

・シェア別荘・運用付販売モデル

高グレード物件を小口化し、オーナー不在日はホテル運用に切り替えるモデルが増加中。維持費を軽減しつつ、収益化を両立できる柔軟なモデルとして、淡路島でも事例が登場。

2. エリア別“勝ち筋”の傾向

淡路島は行政区ごとに地形や規制が大きく異なります。下記は開発視点から見た要点です。

エリア  特徴・留意点
淡路市・西海岸話題性が高く、観光動線も良好。ただし供給希少で価格も上昇傾向。高台での眺望確保が現実的。
淡路市・東海岸風が穏やかで住環境良好。釜口・生穂・大谷など丘陵地の眺望地にチャンスあり。
洲本市・西海岸自然公園法の特別地域が多く、建蔽率や色彩制限に注意。接道や上水の確認は必須。
洲本市・東海岸ホテルが多く競争は激しいが、由良エリアは新興地として注目。
南あわじ市自然資源豊富で地価も相対的に安い。がけ地や漁港エリアが多いため、設計・造成力が問われる。

3. 規制・インフラのクリティカルチェック

申込や購入前に、最低限以下の点を必ず確認する必要があります。

・ 42条接道の有無、幅員確認(行止まり私道はNG)
・ 用途地域、宿泊可否(洲本市は宿泊禁止区域も)
・ 緑地確保義務(500㎡以上で要協議)
・ 自然公園法(特別地域は建蔽20%・色彩制限あり)
・ 擁壁、地盤の適法性(検査済証・劣化状況)
・ 農振除外・水利同意(漁協・組合への事前確認)

これらのうち一つでも曖昧なまま契約すると、「建てられない土地」になるリスクが生じます。特に上水・排水の可否は初期段階で必ず確認しましょう。

4. 設計思想と運営収益化の一体化

淡路島の成功事例に共通するのは、「設計と運営の連動」です。建物を美しく造るだけでは、収益性は確保できません。

・ 清掃、ランドリー動線、設備点検性を図面段階で設計。
・ 騒音、プライバシーを考慮した棟配置。
・ 許認可(旅館業・消防)を前提にしたプランニング。
・ 眺望軸、夕日や朝日を活かした設計。

特に“眺望の質”は価格弾力性を最も左右するため、設計初期のロケーション検証が肝となります。

5. 稼働率を支える「宿泊動機の多層化」

淡路島では週末集中型の傾向が強く、平日稼働をどう確保するかが最大の課題です。

そのため、以下のような複合的な宿泊動機設計が欠かせません。

・ 食:鮨、懐石、地産野菜、BBQなどの体験型ダイニング。
・ 体験:釣り、SUP、カヤック、乗馬、イルカふれあい体験など、滞在目的を生むアクティビティ。
・ 季節:鱧、フグ、桜鯛など、季節素材を活かしたプラン構成。

単なる宿泊ではなく、「何を目的に来るか」を明確にした宿づくりが、稼働平準化の鍵となります。

まとめ―淡路島開発の“現実解”

最終的な淡路島のヴィラ&グランピング開発の成功要因は、以下のポイントのように「宿泊動機の多層化」×「法令適合性」×「現地調整力」に尽きます。

・オーシャンフロントは希少、高価、規制厚。
・高台+眺望+インフラ確実性を前提に堅実に設計する。
・新築、中古、分譲、シェアを柔軟に組み合わせ、出口まで描く一気通貫モデルを構築。
・設計段階から運営と販路(貸別荘/会員制/再販)を意識する

建てるだけではなく、“稼ぐ仕組み”を最初から設計することが、淡路島開発の最重要ポイントです。

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