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【事例あり】メルマガを活用してホテル&旅館の集客を底上げする方法

「SNSやOTAの時代に、まだメルマガは効果があるのか?」 

そんな疑問を抱くホテルの集客担当者も多いのではないでしょうか。確かに、InstagramやTikTokの影響力は絶大で、OTA経由の予約は宿泊業界に欠かせない販売チャネルになっています。

しかし実際には、多くのホテル・旅館が今もメルマガを活用し、安定した集客成果をあげています。理由はシンプルで、メルマガには「既存顧客に直接アプローチできる」「費用対効果が高い」「データ分析がしやすい」という3つの大きな強みがあるからです。

今回は、メルマガを活用して集客につなげるコツとその効果について、事例をふまえながら紹介します。

宿泊者リストはメルマガとデータ連携に活かせる

ホテルにとって一番の資産は、実際に宿泊してくれたお客様のリストです。メルマガは、このリストを生かせる最もシンプルかつ強力な手段のひとつです。

最近はメール配信ツールと広告プラットフォームの連携も容易になり、例えば「宿泊経験のあるお客様に、Google広告やSNS広告を同時に配信する」といった運用も可能になりました。メルマガ単体だけでなく、他の施策と掛け合わせて顧客接点を増やせる点が、大きな魅力です。

効果的なメルマガの特徴とは

1. どんなメールが効果的なのか?

メルマガの成果を左右するのは「内容」「見せ方」です。ホテルの販促において効果的とされるのは以下のような情報です。

・ 新しい宿泊プランのお知らせ
・ 閑散期のキャンペーン案内
・ 客室増設やリニューアルの情報
・ 新しい設備導入の告知
・ 受賞や表彰といったニュース

大切なのは「読者が喜ぶ情報かどうか」。売り込み色の強いメールは嫌われやすいため、まずは「読み物」としても楽しめるコンテンツを意識することがポイントです。

2. 開封率と反響率(コンバージョン率)の目安

ホテル業界でのメルマガ開封率はおおよそ 15%~30% が目安とされています。タイトル次第で大きく変わるため、「季節感」「お得感」「限定感」を短くわかりやすく伝えるタイトルが有効です。

また、実際に予約につながる「反響率(コンバージョン率)」 0.1%~1%程度 とされています。一見すると低い数字に見えるかもしれませんが、宿泊業は単価が高いため、数件の予約でも売上インパクトは大きくなります。

3. 送るタイミングの工夫

「いつ配信するか」も成果を左右する要素です。新しい宿泊プランの開始、閑散期対策のキャンペーン、設備リニューアルや新施設オープンのニュースなど、何かしらの“きっかけ”に合わせることで開封率と予約率は高まります。

また、曜日時間帯にも傾向があります。たとえば平日のお昼休み週末前など、受信者が「旅行を考える余裕がある時間」に届くように設定することで成果が安定します。

4.【A社の事例】画像重視のシンプル設計

あるリゾートホテル(A社)は、毎月1回・木曜13時にメルマガを配信しています。内容は「おすすめプラン+季節特集」と非常にシンプル。特徴的なのは「写真重視」であることです。

文章で説明するのではなく、料理や景色の写真を中心に構成。蟹のバイキングやリゾート地の風景を視覚的に伝えることで、読者に「行ってみたい」と直感的に思わせる工夫をしています。

この取り組みにより、開封率は15%、クリック率は3~4%。毎月平均20件前後の宿泊予約を獲得しています。決して派手な数字ではありませんが、低コストで安定的に予約を確保できる強みがあります。

メルマガはSNSやOTAに比べて地味に見えるかもしれませんが、「宿泊者リストを最大限に生かす手段」としては非常に優秀です。とくにリピーター育成閑散期対策では大きな力を発揮します。

次に、B社の事例を交えながら「配信頻度・内容設計・顧客満足度を高める工夫」について詳しくご紹介します。

5.【B社の事例】配信頻度・内容

配信頻度は2〜3か月に1回

A社が「毎月1回」を基本にしていたのに対して、別の宿泊施設B社は「2〜3か月に1回」という頻度でメルマガを配信しています。一般的に「頻度が多いほうが効果はあるのでは?」と考えがちですが、宿泊業は日用品のように毎週購入されるわけではありません。

旅行や宿泊は多くても年に数回という方が大半です。

そこでB社は「わざと間隔をあける」ことで、読者にとって「待ち望まれる情報」として届けるようにしています。結果として、開封率は20%前後と高い確率を維持。お客様に「また来たい」と思ってもらうタイミングを狙うことで、自然な予約導線を作り出しているのです。

配信内容は「もらってうれしい情報」に絞る

B社がこだわっているのは「情報の質」です。メルマガで送るのは下記の内容に絞っています。

・ キャンペーン型(お得なプランに限定)の宿泊プラン
・ 季節ごとの新規宿泊プラン
・ 新規施設の開業ニュース

といった“受け取った人が嬉しいと感じる内容”や“知りたい情報”に限定しています。単なる宣伝ではなく、「自分に関係がある」「得をした気分になれる」と思わせることが重要なのです。

さらに既存のお客様に向けて配信するため、「少し特典をつける」ことを必須条件にしています。たとえば「メルマガ読者限定の割引プラン」や「先行予約できるシークレットセール」などです。読者に特別感を持ってもらうことで、予約につながりやすくなります。

シンプルな画像中心の構成

テキストを長々と書くのではなく、B社のメルマガは画像を中心にしています。理由は「長い文章はお客様に敬遠される」から。むしろ写真で一瞬にして「行ってみたい」と感じてもらうほうが効果的と考えています。

料理の写真や客室からの景色、温泉の雰囲気などを大きく載せ、説明は最小限に抑える。この「シンプルイズベスト」の設計が開封後のクリック率を押し上げ、結果的に予約へとつながっています。

数字で見るB社のメルマガ集客の成果

B社は約10万件の宿泊者リストに配信し、開封率は20%前後をキープ。予約件数としては1回の配信で60〜80件ほど。劇的に業績を変える数字ではないかもしれませんが、配信コストがほぼかからないため、非常に効率的な施策となっています。

必要なコストはメール配信ツールの利用料(月額1万円程度)のみ。広告に比べると圧倒的に安価であり、「コストを抑えて予約を積み増す施策」として非常に優秀です。

メルマガで使えるアイデア集

B社の事例から学べる「使えるアイデア」を整理すると次のようになります。

・ 限定クーポンの配信
「メルマガ読者だけの特別割引」を設定すれば、予約を後押しする強力な動機になります。


・ シークレットセール
一部の読者にだけ案内する割引プランは、「特別感」と「お得感」を同時に提供できます。


・ イベント情報の告知
ホテルで開催される催しや、近隣の観光イベントとセットで告知することで、宿泊の動機づけになります。


・SNSへの誘導
ロイヤル顧客をSNSに誘導し、日常的に情報に触れてもらうことで「ファン化」を進めることも可能です。


・ECとの連携
料理に強い旅館や地産地消を掲げる施設では、食品の通販をメルマガ経由で展開する事例もあります。宿泊だけでなく、別の収益源を育てる手段にもなり得ます。

「限定感」が成功のカギ

メルマガの魅力を一言で表すなら「限定感を演出できる」ことです。

「あなただけ(顧客限定)」「 今だけ(季節・期間限定)」この2つの要素が揃うと、読者は「この機会を逃したくない」と感じやすくなります。

ただし、毎週のように限定感を演出するのは現実的ではありません。むしろ年に数回、「ここぞ」というタイミングで強い限定感を打ち出すほうが、施設の運営体制にも無理がなく、効果的です。

B社の取り組みから学べるのは、以下の3つの姿勢です

・配信頻度を無理に増やさない
情報は読者が喜ぶ内容に絞る
・シンプルな画像中心の構成で魅力を伝える

メルマガは“派手な施策”ではないかもしれません。しかし、ほぼゼロに近いコストで安定した集客を支える仕組みになり得ます。OTAや広告に頼るだけでなく、自社で築き上げた宿泊者リストをどう生かすか。その一つの答えがメルマガなのです。

【応用編】メルマガ活用でさらに集客をUP

ここからは、さらにメルマガを効果的な集客施策とするための応用的な活用方法をご紹介します。

1. 最も効果的な配信のタイミングとは

メルマガを送る上で意外に重要なのが「いつ送るか」というタイミングです。

A社の例では「毎月第3木曜日の13:00」に送信していました。これは単なる偶然ではなく、問い合わせや予約希望の連絡にすぐ対応できる曜日と時間を選んでいるのです。

宿泊予約は「興味を持った瞬間」に申し込みまで進むことが多く、その場で対応できるかどうかが予約獲得率を左右します。平日昼の配信なら、読者が昼休みにメールを開き、その後すぐに公式サイトで予約を完了できる可能性も高まります。

一方、B社のように配信頻度を抑える場合でも、「春の花見」「夏の海水浴」「秋の紅葉」「冬の温泉」といった季節のイベントに合わせることで、読者の旅行欲求が高まる瞬間を狙えます。タイミングを誤らなければ、少ない配信でも大きな成果につながるのです。

SNS広告なども同じですが、メルマガを受け取ったユーザーが即予約の行動を移すことは、ほぼありません。特に観光系やリゾート系の宿泊施設は1人旅でなく、同伴者がいることが一般的です。日程や価格、宿泊プランを同伴者と相談するための一定期間のリードタイムがあります。

そのため、まずはメルマガを読んでもらうことを最優先にし、旅行を検討することが多い連休の前後などに配信するのが効果的です。

2. メルマガ配信後の効果測定と改善が予約につながる

メルマガの強みは「配信したら終わり」ではなく、開封率やクリック率といったデータを細かく確認できる点にあります。

A社では導入当初、配信結果を数か月ごとにまとめて分析していましたが、現在は「配信直後の数値チェック」が日課となっています。管理画面で「どの画像が最もクリックされたのか」「どのプランへの関心が高かったのか」を確認し、次回配信にすぐ反映する。この小さな改善の積み重ねが、安定的に20件前後の予約を毎月生み出す結果につながっています。

データを眺めるだけでは意味がありません。クリックが多い画像が分かれば、次の配信ではその要素を強調する。逆にクリックが少ない内容は大胆に削る。トライ&エラーを繰り返すことで、読者が「開きたい」「クリックしたい」と思えるメルマガに近づいていきます。

3. リピーター戦略としてのメルマガ

ホテルや旅館にとって新規顧客の獲得はもちろん重要ですが、リピーターを育てることが長期的な安定経営につながります。メルマガはその「リピーター戦略」の中核になり得ます。

・ 宿泊したお客様に「次回予約で使える限定クーポン」をメルマガで案内
・ 誕生日や結婚記念日など、特別な日に合わせたお祝いメッセージと割引プランを送る
・ 前回の宿泊から半年後に「そろそろ旅行はいかがですか?」と優しいリマインド

こうした個別感のあるメールは、単なる販促ではなく「お客様に寄り添っている」という印象を与えます。B社が強調していた「お客様がもらってうれしい情報」を突き詰めると、自然とリピーターを育てるメルマガへと進化していくのです。

4. メルマガが持つ「広告以上の価値」

広告は費用をかければ誰にでも見てもらえますが、その分「一過性の効果」で終わることが多いのも事実です。

一方、メルマガは一度リストを獲得すれば、ほとんど追加コストなしで何度でも配信できます。さらに読者は「自分が登録した情報」として受け取るため、押し付けられた広告よりも受け入れられやすい傾向があります。

たとえば城崎温泉の有名旅館では、松葉ガニのシーズンにメールやDMを既存顧客に送るだけで、数千万円規模の予約が入るといいます。

また、弊社グループで宿泊施設の集客支援を行う㈱ブッキングリゾートが運営する「いぬやど」でも、7万人を超える愛犬家の会員に向けて新規開業情報を配信したところ、1通のメールから数千万円の予約につながったケースがあります。

https://www.pet-inu-yado.com

こうした事例が示すように、メルマガはSNSのようにアルゴリズムに左右されず、確実に読者の受信箱へ届きます。まさに「届けたい人に確実に届けられるメディア」として、非常に強力な資産といえるでしょう。

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まとめ

今回は、メルマガの効果と集客につなげる方法について、以下4つのポイントを紹介しました。

・ 配信タイミングを工夫し、問い合わせ対応可能な時間に設定する
・ 効果測定をルーティン化し、小さな改善を積み重ねる
・ リピーター育成を意識し、個別感のあるメールを送る
・ メルマガを「確実に届く資産」として位置づける

ホテルや旅館の集客において、メルマガは「大きな数字とは言えない部分もあるが、確実に業績引上げ効果がある施策」です。長期的に続けるほどに、宿泊者リストが資産として価値を持ち、広告コストに依存しない経営を支える柱になっていくでしょう。

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