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旅館経営の未来|小規模だからこそ実現できる高収益モデルへの転換

国内旅行ニーズが下がりインバウンド集客が必須になってきている今、老舗旅館やホテルはどのように収益を得ていけばよいでしょうか。

実は、小規模旅館やリニューアルが必要な古い旅館・ホテルこそ、高収益モデルに転換できる可能性を秘めています。この記事では、特に小規模の宿泊施設が高収益を得るための工夫について紹介します。

旅館・ホテルは「大きければ強い」は過去の発想に

かつては「客室を増やせば売上も上がる」と考えられていた時代がありましたが、今や規模の大きさが経営の安定を保証する時代ではなくなりました。

一般的に大型旅館やホテルほど人件費や光熱費、維持費の負担が重く、組織構造が複雑なほど意思決定も遅れがちです。

一方で、10室~30室前後の小規模旅館では、コンセプト転換や商品設計の修正を素早く行える利点があります。

改修の範囲も限定的で済み、SNSやOTAを活用したブランディングの自由度も高いメリットがあり、近年は「小規模=リスク」ではなく、「小規模=機動的に変われる強み」として再評価されつつあります。

バブル期の“成功体験”が足かせに

1980年代後半、団体旅行ブームに乗って多くの旅館が大型化を図りました。

しかしバブル崩壊後、頼みの企業の社員旅行は激減し、宴会場や大広間はほとんど使われなくなり、固定費と借入金だけが残ってしまう事態に。

その結果、当時の借入金が今も経営を圧迫し、「親子三代でも返しきれない」と言われるほどの債務が残る宿も少なくありません。

「大和リゾート」の事例に見る“大規模化の代償”

かつて全国に約6,700室を展開していた「大和リゾート」は、典型的な“規模の成功モデル”でした。

しかし、2023年、M&Aが発表された際の年商は188億円。1室あたりの年間売上は約280万円まで低迷、人件費・光熱費・修繕費を賄うには限界がありました。

最終的に大和リゾートはフランスのアコーグループがリブランドの上、運営することとなりました。

2024年からは、「グランドメルキュール」「メルキュール」ブランドとして全国23軒を再出発しています。

アコーグループにおいても、会員ネットワークやインバウンド需要を活かして再建を進めていますが、各地域の法人の決算(公開情報となっている)は、赤字の施設が多いようです。

ホテルや旅館では規模の経済は働きにくく、「再構築」には長い時間と多大なコストが必要になることがわかります。

このことから、「大きいことが安定を意味するわけではない」ことは明確です。

借入依存からの脱出は小規模旅館の方が有利に

宿泊業全体の借入金依存度は95%と極めて高く、金利上昇や金融機関の支援縮小が経営を左右するリスク要因です。

名のある老舗旅館でも、後継者不足や借入返済に苦しみ、外部ファンドやチェーン傘下に入るケースが後を絶ちません。

一方で、小規模旅館は構造を簡素化し、固定費を抑えて柔軟な価格設計を行うことで、利益率を維持する「スモール・サステナブル」経営が可能です。

現代の旅館再生において重要なのは、「どれだけ大きいか」ではなく、「どれだけ構造を軽くできるか」です。

“小さく強く”が新しい時代の旅館経営のキーワードになっていると言えます。

7割の旅館が再生待ちという現実でも小規模宿が有利

観光庁の分類によると、地域旅館のうち「成長・新興旅館群」はわずか約2割しかないそうです。残り8割は成熟または衰退段階にあり、構造的な改善が急務とされています。

特に地方の大型ホテルや旅館はスポンサーや投資家が付きにくいものの、大規模施設が抜け出せない固定費の壁を、小規模宿は軽やかに越えることができます。

数億円単位であれば再生計画も立案しやすく、信用性のある経営計画を立案できれば、地方銀行や信用金庫の支援が得られる可能性が高まります。そういった理由で、小規模な宿の方が再生は現実味があると言えます。

小規模宿の強み:構想から実行までが速い

数室〜十数室規模の宿は、改修・投資・オペレーションの全てをオーナーが意思決定できるため、素早く変化できます。

1部屋ごとに価格やコンセプトを変える「客室ブランディング」が容易で、UGC(利用者投稿)SNSを通じたストーリー発信も効果的に展開できます。

この俊敏性こそが、小規模宿最大の競争優位といえます。

UGCやSNSを活用したマーケティングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひ読んでみてください。

「老朽化=弱点」ではなく「再設計の機会」と捉える

古い施設ほど、実はリニューアル後に成功する可能性が高いと言えます。

宴会場をレストランやサウナ棟へ転用したり、客室を減らして一部をラグジュアリースイートに変えたりと、「減築型リニューアル」で成功する事例も増えています。

未だ事例は限定的ですが、明確なテーマを持たせた小規模リブランドは稼働率を大幅に改善し、ADR(平均客室単価)を引き上げている施設も少なからず存在します。

インバウンド時代に求められる“地域密着型”戦略

今は、外資ホテルが会員制度とブランド力でグローバル需要を取り込む一方、地域旅館は“文化・自然・体験”を軸にしたローカルラグジュアリーで勝負する時代に入っています。

単なる宿泊ではなく、地域の食やアクティビティと結びついた“物語のある滞在”こそが、国内外の旅行者を惹きつけます。

ここで重要な役割を担うのが、ランドオペレーター地域のDMOです。

元々、宿泊業界のセールス活動は直接代理店向けに行われてきましたが、大手OTAが力を持つにつれ、営業活動は行われなくなってきました。

ただ、今後はOTA依存だけでは厳しい時代に入ってきています。

ランドオペレーターや地域DMOは、小規模で特徴的な宿を好意的に捉えています。

海外インバウンド層に響くように、自施設の魅力を効率的に伝えるべきタイミングが来ています。

弊社では、ランドオペレーター事業も展開しています。HINOTOA会員に登録いただけると、海外の富裕層のお客様に利用頂けるようにモデルコースに組み込むことも可能です。ぜひご検討ください。

まとめ ‐「利益構造の再設計」からしか未来は開けない

小規模の老舗旅館・ホテルは、その規模だからこそ実現できる高収益モデルがあります。それには、以下2点をおさえておきましょう。

・ OTA掲載だけに頼らず、自社公式サイトやSNS広告でターゲットを明確化する。
・ 季節・テーマ別の訴求を行い、収益を支える構造を整える。

こうした地道な改革が、結果的に“人を雇える経営”へとつながります。

大きさではなく、構造で勝つ。

それがこれからの旅館業界における、最も現実的で、最も希望のある道筋ではないでしょうか。

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