「琵琶湖で、自分たちも使える貸別荘を計画したい」。ここ半年ほどで、こうしたご相談を何件もいただくようになりました。そのうち1件は、土地もほぼ決まり事業計画もまとまりかけていましたが、建築費の高騰で資金計画が合わなくなり、計画そのものが止まってしまいました。
数年前なら、同じようなご相談は淡路島の方が多かった印象です。ところが最近は「次は琵琶湖を見ている」という方が少しずつ増えてきました。別荘として家族や社員と使い、使わない日は貸別荘として運営したい、というご相談です。
弊社グループは滋賀県高島市で宿泊施設を運営・開発しています。この記事では、琵琶湖エリアで別荘や貸別荘の開発・購入を検討している事業者・投資家の皆様に向けて、現地で感じている市場の変化と、土地選びで注意したいポイントをご紹介します。
琵琶湖・高島市の別荘市場は変わり始めている
外国人旅行者が目に見えて増えてきた

高島市で開発を進めていると、数年前とは空気が少し変わってきたと感じます。その理由の一つが、外国人旅行者の増加です。メタセコイア並木や白鬚神社に行くと、以前より外国人旅行者の姿が目立つようになりました。弊社の宿泊施設でも、台湾や香港からの予約が増える傾向にあります。
京都を観光した後、高島市まで足を延ばす旅行者も少しずつ増えています。雪がある、湖がある、緑が多い、地下水が豊かで水がおいしい。日本人には当たり前でも、海外から見ると魅力に映るものが、このエリアには意外と多くあります。冬にはスキー場もあり、雪景色そのものを目的に訪れる旅行者も少なくありません。
「次のニセコ」と言いたいわけではないが
もちろん、「琵琶湖が次のニセコになる」と言いたいわけではありません。ただ、日本の別荘地には一つの共通した流れがあります。外国人旅行者が増え、宿泊施設が増え、投資が入り、別荘や土地への関心も高まるという流れです。ニセコや白馬だけでなく、最近は野沢温泉や妙高高原、野尻湖周辺でも似た話を耳にします。高島市が同じ流れになるかはわかりませんが、注目される理由は少しずつ増えています。
湖畔の土地は「二極化」している
貸別荘を計画したいというご相談で、最も多い希望が「湖畔の土地が欲しい」です。ところが、ここが一番難しいところです。
「湖が見える土地」と「浜付きの土地」はまったく別
道路を挟んで湖が見える土地や、2階から湖が見える土地はあります。しかし、敷地からそのまま湖へ出られる浜付きの物件となると、一気に数が減ります。しかも条件の良い物件ほど、一般に公開される前に動いてしまいます。事業者が先に購入したり、紹介だけで商談が進んだりするため、インターネットを毎日見ても見つからないのは不思議なことではありません。
坪3万円以下の土地も残っている
反対に、高島市には坪3万円以下で購入できる別荘地も残っています。同じ琵琶湖でも、一方では数千万円の浜付き物件が動き、もう一方では何年も買い手がつかない土地がある。この二極化は、高島市の別荘市場で最も印象に残る点です。安い土地が悪いわけではありませんが、なぜ安いのかは必ず確認してください。管理状態なのか、立地なのか、別の理由なのか。価格だけでは見えないことが、現地に行くと見えてきます。
土地選びで注意したい4つのポイント

1. 中古別荘は「古い建物が残っている土地」と考える
中古別荘には「これは安い」と感じる物件もあります。ただ、築30年、40年を超える建物も珍しくなく、雨漏りやシロアリだけでなく、間取りや設備そのものが今のニーズに合わなくなっているケースもあります。貸別荘として活用するなら、リフォームでは対応しきれず解体という選択になることもあります。購入価格だけでなく、解体費、造成費、建築費まで積み上げると、事業計画は大きく変わります。
一方で、浜付きや湖畔の希少な立地なら、建物より土地そのものに価値があるケースもあります。同じ中古別荘でも、その差はかなり大きいと感じます。
2. 法規制で建てられる建物が変わる
更地なら安心というわけでもありません。たとえば市街化調整区域は、建物が建てられない地域ではありませんが、用途や計画によって制約があります。自然公園法の特別地域では、建ぺい率や建物の配置などに制限があり、思い描いたプランがそのまま実現できるとは限りません。
市街化調整区域でグランピング施設を運営していた事業者が、施設を更新しようとしても規制の影響で思うように進まず、長く売却先を探していたという話もあります。土地には価格以外の条件があるのです。
3. インフラで事業性が左右される
貸別荘を計画するなら、確認する項目はさらに増えます。
● 接道条件に問題はないか
● 上水道はどこまで来ているか
● 浄化槽は設置できるか
● 排水はどう処理するか
土地の価格だけではわからない部分に、事業性を左右するポイントが隠れています。
4. 温泉付きは思った以上に難しい

「せっかくなら温泉付きにしたい」というご希望もよく伺います。ただ、高島市やマキノ周辺では、高温の源泉を確保するのは簡単ではありません。深く掘削しても得られる源泉の温度が低く、加温設備が必要になるケースもあります。地上に汲み上げる過程でも温度は下がるため、冬場は加温のコストが大きくなります。「温泉付き」という言葉だけではわからないランニングコストは、事業計画で必ず見込んでおきたい項目です。
貸別荘は、これから供給が増えていく
「自分でも使いながら、使わない日は貸別荘として運営したい」というご相談は、これからも増えていくと思います。ただ、それは競争相手も増えるということです。
数年前なら差別化になったサウナ、温泉、プライベートプール、ドッグランといった設備も、これからは標準になっていくかもしれません。建築費も運営コストも上がり、「建てれば予約が入る」時代ではなくなりました。立地とコンセプトの差、そして「泊まる理由」がはっきりした施設が選ばれる市場になっていきます。
所有するか、貸別荘として運営するか、会員制別荘・シェア別荘を選ぶか。別荘の持ち方の選択肢も以前より増えています。シェア別荘を検討する際の考え方は、「シェア別荘は資産になる?「出口」から考える3つの判断基準|値上がり・管理費・共同所有」でも解説しています。
河口湖・淡路島・箱根で手がけた一棟貸しヴィラの開発事例は「一棟貸しヴィラ・高級別荘の開発事例|河口湖・淡路島・箱根で何を優先したか」でご紹介しています。
まとめ ― 琵琶湖の別荘市場は「見ていて面白い市場」になってきた
● 高島市では外国人旅行者が増え、宿泊施設でも台湾・香港からの予約が増加傾向
● 湖畔の土地は、希少な浜付き物件と、坪3万円以下の土地とで二極化している
● 中古別荘は解体費まで含めて事業計画を立てる
● 市街化調整区域や自然公園法など、法規制で建てられる建物が変わる
● 上下水道や浄化槽、温泉の加温コストなど、インフラが事業性を左右する
● 貸別荘の供給は増えていくため、「泊まる理由」の設計が欠かせない
インバウンドの広がり、新しい宿泊施設の開発、別荘への関心の高まり。数年前と比べて、高島市を取り巻く環境は確実に変わってきました。その変化が数年後の市場にどう影響するかはまだわかりませんが、琵琶湖の別荘市場は、以前より見ていて面白い市場になってきたと感じています。
弊社では、琵琶湖エリアをはじめ、淡路島、富士五湖、天橋立などで宿泊施設の開発・運営を行っています。土地選びや事業計画のご相談は、お気軽にお問い合わせください。













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