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RevPARとは?計算式とADR・OCCとの関係、平均値・改善方法を解説

ホテルや旅館の収益性を測る代表的な指標が「RevPAR(レブパー)」です。平均客室単価(ADR)と稼働率(OCC)を掛け合わせた数値で、ホテルの収益力を総合的に表す国際標準の指標として、金融機関や投資家との対話でも必ず登場します。

この記事は、ホテル・旅館・ヴィラ・グランピングの経営者や開発担当者の方に向けて、RevPARの定義と計算式、ADR・OCCを含めた3つの指標の関係を整理し、日本市場での推移や宿タイプ別の特徴、RevPARを高める具体的な方法までをまとめたものです。自施設の数字をどの指標で読み、どこから手を付ければよいかを判断する材料としてご活用ください。

RevPARとは

RevPARの意味と定義

RevPARは Revenue Per Available Room の略称で、「販売可能客室1室あたりの収益」を意味します。平均客室単価(ADR)と稼働率(OCC)を掛け合わせた数値であり、ホテルの収益力を総合的に表す国際標準の指標です。

ADRが高くても稼働率が低ければ収益は上がらず、逆に稼働率が高くても単価が低ければ利益は限られます。ADRと稼働率の両方を掛け合わせるRevPARは、ホテル経営の健全性を判断するうえで最も分かりやすい指標として使われています。

RevPARが重要視される理由

RevPARは、ホテル経営者・投資家・金融機関に共通の指標です。稼働率だけ、ADRだけを見ても実際の収益力は測れませんが、RevPARなら「価格」と「利用率」の両方を含んでいるため、収益力を一目で把握できます。

さらに、RevPARは施設の規模に依存しないため、異なるホテル同士を横並びで比較できるメリットもあります。都市型ホテル、リゾートホテル、旅館などの形態を超えて、「どれだけ効率的に収益を生んでいるか」を測る共通言語になります。

RevPARの計算方法

RevPARには、代表的な計算方法が2つあります。

● 計算式①:RevPAR = 客室売上 ÷ 販売可能客室数
● 計算式②:RevPAR = ADR(平均客室単価) × OCC(稼働率)

たとえば、販売可能客室数が100室のホテルで、1日の客室売上が700,000円だった場合、RevPARは700,000円 ÷ 100室 = 7,000円です。これは「販売可能な1室あたり平均7,000円を稼いでいる」という意味になります。

同じホテルのADRが10,000円、稼働率が70%であれば、RevPARは10,000円 × 0.7 = 7,000円です。このように、どちらの計算式を使っても同じ数値が算出されます。客室売上と販売可能客室数がすぐに分かる場合は計算式①、単価と稼働率に分けて分析したい場合は計算式②が便利です。

ADR・OCC・RevPARの関係

RevPARを正しく読むには、構成要素であるADRとOCCを理解しておく必要があります。

ADR(平均客室単価)とは

ADR(Average Daily Rate)は、日本語で「平均客室単価」と呼ばれ、宿泊業界の収益性を測る最も基本的な指標のひとつです。「1室あたりいくらで売れているか」を表す数字で、ホテル経営の「売上の強さ」を示すベースラインといえます。

ADRの基本式は「ADR = 客室売上 ÷ 販売客室数」です。ここでの販売客室数とは、実際に販売できた客室数を指し、空室や販売停止の部屋は分母に含めません。たとえば1日の客室売上が1,000万円、販売できた部屋数が1,000室なら、ADRは10,000円となり、「平均して1室あたり1万円で売れた」ことを意味します。「1泊あたりどのくらいの価値を売れているか」をすぐに把握できるため、価格戦略やプラン作りの基礎になります。

OCC(稼働率)とは

OCC(Occupancy Rate)は、販売可能客室に対して実際に何室稼働したかを示す、客室の利用状況の基本指標です。単価が低くても稼働率が高くなるケースがあるため、収益性は稼働率だけでなく、他の指標と組み合わせて見る必要があります。

3つの指標を計算例で比べる

ADRとOCCを掛け合わせたものがRevPARです。ADRは「価格の強さ」、OCCは「利用率」、RevPARは「価格と利用率を合わせた収益力」と位置づけられます。販売可能客室数100室、販売客室数70室、1日の客室売上700,000円のホテルで3つの指標を計算すると、次のようになります。

指標表すもの計算式計算例
ADR(平均客室単価)価格の強さ客室売上 ÷ 販売客室数700,000円 ÷ 70室 = 10,000円
OCC(稼働率)利用率販売客室数 ÷ 販売可能客室数70室 ÷ 100室 = 70%
RevPAR価格と利用率を合わせた収益力客室売上 ÷ 販売可能客室数、またはADR × OCC700,000円 ÷ 100室 = 7,000円(10,000円 × 70% = 7,000円)

ADRとRevPARの違いは、分母が「販売客室数」か「販売可能客室数」かという点です。ADRは売れた部屋だけの平均単価、RevPARは空室も含めた全客室での平均収益を表します。そのため、単価を上げても稼働率が下がればRevPARは伸びず、稼働率を上げても単価を大きく下げればRevPARは伸びません。この3つの関係を理解しておくと、自施設の課題が価格にあるのか、稼働にあるのかを切り分けられ、経営分析の幅が大きく広がります。

日本市場におけるRevPAR・ADRの推移

RevPARとADRは、市場環境によって大きく変動します。日本市場の推移を振り返ると、その特徴がよく分かります。

時期市場の動きADR・RevPARの傾向
2019年(コロナ前)インバウンド需要がピークを迎え、東京や大阪を中心に稼働率もADRも高騰都市型ホテルを中心にADRが高騰し、平均で18,000円を超える施設も珍しくなかった。RevPARは過去最高水準
2020〜2021年(コロナ禍)緊急事態宣言や国際的な渡航制限、国内旅行需要の減少で稼働率が急落都市部のホテルではADRが1万円を下回ることも多く、RevPARが半減〜3分の1まで落ち込んだ施設も少なくなかった
2022〜2024年(回復期)国内旅行需要の回復、インバウンドの復調に加え、人件費・物価上昇を背景にADRを引き上げたホテルも多い東京のシティホテルではADRが20,000円台に戻り、沖縄や北海道などリゾート地では繁忙期に40,000円以上の例も。RevPARは急速に回復

地域別・宿タイプ別に見るRevPARの特徴

RevPARは、地域やホテルのタイプによっても大きく異なります。自施設の数字を見るときは、同じタイプの施設と比べることが大切です。

都市型ホテル

都市型ホテルはビジネス需要と観光需要の両方を取り込むため、稼働率が安定しやすい一方、イベントや国際会議などで短期的に大きく変動します。

エリアのイベント効果を表す例として、月刊ホテレスの調査があります。同調査によれば、2025年8月時点で全国89ホテルの平均客室稼働率は81.7%(前年同月80.0%)、ADRは16,408円(同15,708円、4.5%増)、RevPARは13,405円(同12,566円、6.7%増)でした。中でも万博の開催で盛り上がった大阪は、RevPARが39.6%増と大幅に伸びています。周辺で予定されているイベントをふまえて、RevPARの変動を予測しておくとよいでしょう。

リゾートホテル・地方旅館

リゾートホテルは繁忙期と閑散期の差が大きいため、年間を通したRevPARの平均値は都市型より低く出ることもあります。ただし単価が高いため、シーズン次第では大きく上振れする場合もあります。

リゾートホテルや地方旅館では、ADRを守ろうとする姿勢が強い事業者が多い印象があります。閑散期に宿泊客を集めるアイデアが見つからず、ブランドイメージを守ることを優先した結果、稼働率が下がっているケースも見られます。ADRだけでなくRevPARで見ることで、閑散期の稼働をどう補うかという視点が持てるようになります。

RevPARを高める方法

RevPARは「ADR × 稼働率」で構成されているため、改善のアプローチは「ADRを上げる」「稼働率を上げる」「効率を上げる」の3つに分けられます。

ADR(平均客室単価)を上げる

商品戦略:食事付き・アクティビティ付きといった体験価値を組み込んだ高付加価値プランで差別化すると、比較的単価を上げやすくなります。インバウンド対応パッケージとして、外国人旅行者向けに特別体験や食事付きプランを用意するのも有効です。ADRには開発時点の客室数や部屋のつくりが大きく影響します。同じようなグレードの部屋ばかりでは単価が下がりやすいため、客室面積で部屋タイプを複数に分けたり、客室温泉など設備面で差をつけたりして、部屋タイプを細かく設定することがADRの向上につながります。

宿泊定員を多く設定する:最も取り組みやすい方法のひとつです。排水基準など旅館業許可の内容確認が必要ですが、ユーザーは1人あたりで予算を考えることが多いため、比較的効果が出やすい方法です。バケーションレンタルやグランピングで成功事例が多く、開発が増えているアパートメントホテルもこのニーズを狙った業態です。企業研修や貸切旅行など大人数グループ向けのプランも有効です。

販売チャネル戦略:OTA主催のセールに参画して割引やポイントの経費負担が増え、経営に苦しんでいる宿泊施設は少なくありません。自社公式サイトからの予約比率を高めることが単価を守ることにつながります。ペット受け入れ客室やサウナ付き客室など部屋タイプを分ければ、愛犬家向けやサウナ付きホテルを紹介するメディア・予約ポータルサイトにも露出できます。会員制度を設けて特典を付与し、直接販売を強化する方法も効果的です。詳しくはOTA依存から脱却!SNSと直販強化でホテル集客を最大化する方法で紹介しています。

需要予測に基づいた価格設定:レベニューマネジメントシステム(RMS)を導入し、需要予測に基づいて価格を柔軟に変動させる方法が有効です。システム導入が難しい場合でも、夏休みや祝前日、土曜日の客室在庫を一度に売り切らず、売れ行きに合わせて少しずつ単価を上げる方法は効果があります。夏休みに強い集客力を持つプール付きホテルなどでは、夏休みの在庫を一定数売り止めにして9月から販売する方法もあります。弊社グループでも8月の客室在庫を売り止めにして9月の稼働を高めたところ、8月と9月の合計売上が前年比で15%程度伸びた事例があります。価格変動の考え方はホテル収益を最大化する最新戦略「ダイナミックプライシング」ノウハウも参考にしてください。

稼働率を上げる

稼働率を上げる鍵は、平日需要の開拓です。シニア層向け、法人の研修利用、ペット同伴プランなどを企画することで、休日だけでなく平日も安定して稼働できます。SNS広告やインフルエンサー投稿などのデジタル施策も有効です。

都市型ホテルにもリゾート系ホテルにも使える方法として、平日限定のモニタープランがあります。弊社グループでは、UGCの広告素材を集めるためにモニタープランを活用している事例があります。30%OFFなどの価格設定にしますが、SNSに投稿してもらう、投稿素材のデータをいただくという明確な目的があるため、ブランドイメージを保ちながら価格訴求できる施策として機能しています。平日集客の具体策は旅館・ホテルの平日集客|シニア・ママ・学生のターゲット別マーケティング術で詳しく解説しています。

DXで効率を上げる

事前決済のみの運用、モバイルキーの導入、コールセンターの外部化などのDX施策を取り入れると、限られたスタッフでも高いサービス水準を維持できます。人件費やオペレーションコストを抑えることで収益率が改善し、RevPAR向上の余地も広がります。

時間軸で整理する改善の順番

● 短期的には、販促施策で稼働率を上げる
● 中期的には、体験価値やブランディングの強化で単価を上げる
● 長期的には、DX化や人材育成で効率を改善する

RevPARの改善は、「価格 × 稼働率 × 効率化」を三位一体で進めることが大切です。

RevPARと合わせて知っておきたい指標

RevPARは便利な指標ですが、万能ではありません。ADRも同様で、単価を上げても稼働率が下がれば収益は伸びません。経営判断や投資判断には、他の指標と組み合わせて使うことが重要です。

指標内容主な使い方
ADR(平均客室単価)価格の強さを単独で表す。高いほどブランド力や付加価値があると判断できる価格戦略・プラン作りの基礎
OCC(稼働率)客室の利用状況を示す基本指標稼働状況の把握。単価と合わせて評価する
GOPPAR(Gross Operating Profit Per Available Room)RevPARからさらに費用を引き、営業利益ベースで1室あたり収益を測る運営効率の差の可視化
NOI(Net Operating Income)賃料や固定資産税を引いた純営業利益投資家や金融機関が利回りを判断する

運営者はRevPARで日々の収益性を管理し、投資家はNOIで利回りを判断するといった違いがあります。売上の先にある利益をどう高めるかについては、旅館の利益率は何%が普通?優良旅館・高級旅館の実例に学ぶ収益アップの法則もあわせてご覧ください。

まとめ

● RevPARは「販売可能客室1室あたりの収益力」を示す国際標準の指標
● 計算式は「客室売上 ÷ 販売可能客室数」または「ADR × OCC」で、どちらでも同じ数値になる
● ADRは価格の強さ、OCCは利用率、RevPARは両方を合わせた収益力。分母の違いを押さえると課題を切り分けられる
● 日本市場ではインバウンドやコロナ禍、イベント需要によってRevPAR・ADRが大きく変動してきた
● 改善は「ADRアップ」「稼働率改善」「DXによる効率化」の3方向で進める
● GOPPARやNOIなど他の指標と組み合わせて、総合的に判断する

RevPARは、投資家・運営者・経営者に共通する「収益力を測るベースライン」です。弊社では、指標の分析から商品設計、販売チャネルや価格戦略の見直しまで、宿泊施設の収益改善をご支援しています。自施設の数字の読み方や改善の進め方にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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