サウナ付きのホテルやヴィラ、貸別荘は、宿泊単価の向上や他施設との差別化につながる設備として、多くの宿泊施設で導入が進んでいます。一方で、「サウナを設置すれば選ばれる」という時代ではなくなりつつあります。
実際の運営では、サウナ室の見た目よりも、どのような設備を採用するかによって、運営コストや故障の頻度、スタッフの負担、さらにはお客様の満足度まで大きく変わります。
この記事では、これからサウナの導入やリニューアルを検討しているホテル・ヴィラ・グランピング施設のオーナーの方や、開発担当者の方に向けて、導入後に「こうしておけばよかった」とならないための設備選びのポイントを紹介します。最後に20項目のチェックリストもまとめて載せるので、ぜひ活用してみてください。
サウナ導入で後悔する施設に共通すること
導入後に後悔しやすいのは、デザインと導入価格だけで設備を選んでしまったケースです。
サウナは開業日だけ動けばよい設備ではありません。毎日のように高温で稼働し、ロウリュで水をかけられ、スタッフがいない時間帯にもお客様が利用します。そのため、次のような点で差が出てきます。
● 故障したときに、どれだけ早く、安く直せるか
● スタッフが現地にいなくても状態を把握できるか
● 電気代や消耗品など、毎月のコストがどれくらいかかるか
● 安全に関わるトラブルを設備側で防げるか
弊社でもホテルやヴィラ、グランピング施設の開業・運営に携わる中で、近年は「デザイン」以上に「運営のしやすさ」を重視して設備を選ぶようになりました。ここからは、確認しておきたいポイントを分野ごとにご紹介します。
安全性:価格以上に重視したいポイント
サウナは高温の設備です。安全性能は、導入価格以上に重視していただきたいポイントです。
自動停止や温度上限などの安全機能
確認しておきたい主な機能は次のとおりです。
● 設定温度に達すると自動で出力を抑える・停止するサーモスタット
● 異常な高温になったときの安全停止機能
● お客様が温度の上限を変更できない設定
● 電気用品安全法(PSE)への適合
こうした機能は事故のリスクを抑えるだけでなく、必要以上に加熱し続けることを防ぐため、電気代の削減にもつながります。
ロウリュに強いヒーターは「内部構造」が違う

宿泊施設では、ロウリュを楽しみにされているお客様がとても多くいらっしゃいます。一方で、ロウリュはヒーターにとって負荷のかかる使い方でもあります。水が内部の基板まで入り込みやすい構造では、故障のリスクが高くなります。
● サウナストーンを多く積める構造か
● 水が内部まで届きにくい設計か
● 基板部分に防水処理がされているか
● ヒーターエレメントに十分な厚みがあるか
見た目では分からない部分ですが、こうした構造の違いが、数年後のメンテナンスコストに大きく影響します。
メンテナンス性:「壊れたときに直しやすいか」
サウナ設備は、どんなに耐久性が高いものを使っていても、いつか必ず故障します。だからこそ、壊れにくさと同じくらい、壊れたときに直しやすいことが重要です。
ユニット・パーツ単位で交換できるか
ヒーター全体を交換しなければならない構造では、修理費がかさむだけでなく、サウナを使えない期間も長くなりがちです。サウナ付きで販売している客室では、その間の売上にも影響します。
ヒーターユニットやパーツ単位で交換できる構造であれば、修理費を抑えながら短期間で復旧できるケースも少なくありません。設備を選ぶ際は、消耗部品の価格や部品の供給体制、国内で迅速に修理を受けられるかまで確認しておくと安心です。
サウナストーンも満足度を左右する

ヒーターに目が向きがちですが、サウナストーンの品質もお客様の満足度とメンテナンス性に大きく影響します。
角の鋭い石は、ロウリュによる急な温度変化で割れやすく、破片がヒーター内部に入り込む原因になることがあります。一方、加工された丸みのあるストーンは割れにくく、水も溜まりにくいため、安定した蒸気を生みやすいのが特長です。
また、サウナストーンは使ううちに少しずつ締まり、目減りしていきます。納品時に予備のストーンを用意しておくと、数回使ったタイミングで補充でき、見た目とロウリュの性能を保ちやすくなります。石が軽くなってきた、上部の石が崩れやすくなってきた、といった変化が交換の目安です。定期的に点検することで、ヒーターへの負荷も軽くできます。
運営のしやすさ:遠隔管理ができるか

宿泊施設では、スタッフが常にサウナの前にいるわけではありません。そのため、スマートフォンやパソコンからサウナの状態を確認・操作できるかどうかは、大切な判断材料になります。
● 現在の温度の確認
● 電源のオン・オフ
● スケジュール運転
● 利用状況や稼働履歴の確認
● 複数施設の一括管理
こうした操作を遠隔で行えると、管理の負担は大きく軽くなります。複数の施設を運営している事業者様であれば、管理画面からすべての施設の状況をまとめて把握できるメリットは非常に大きいでしょう。
ランニングコスト:導入費だけで比べない
導入費だけを比べても、本当のコストは見えてきません。毎月の電気代や消耗品、管理にかかる人の手間まで含めて比較することが大切です。
電気サウナは制御機能で差が出る
電気サウナは、断熱性能や制御機能によってランニングコストが変わります。設定温度に達すると自動で出力を抑えたり停止したりする機能を備えた製品もあり、電気代の削減と設備への負荷軽減の両方につながります。
薪サウナは体験価値と管理体制をセットで考える

薪サウナは、炎の揺らぎや薪の香りなど、独特の雰囲気と体験価値が魅力です。一方で、薪の補充や灰の処理、煙突の清掃など、日々のメンテナンスが欠かせません。遠隔操作やスケジュール運転も難しいため、宿泊施設として運営する場合は、スタッフの動き方を含めた管理体制までセットで検討する必要があります。
どちらが優れているということではなく、施設のコンセプトや運営体制に合った方式を選ぶことが大切です。
薪ストーブサウナを宿泊施設に導入する場合の消防法の考え方は、「薪ストーブサウナは消防法で設置できる?宿泊施設が知っておきたい基礎知識と3つの誤解」で詳しく解説しています。
建築・設備:設計段階で確認しておくこと
サウナは「置けば終わり」の家具ではなく、建物の設備の一部です。設計段階で確認しておきたいことも多くあります。
● 電源容量(単相200Vなど)を確保できるか
● 排水計画に問題はないか
● 搬入経路と設置スペースは十分か
● 製作・輸送にかかる期間を見込んだスケジュールになっているか
最近は、サウナ室のカラーやサイズなどを施設のコンセプトに合わせてカスタマイズできるメーカーも増えています。ただし、特注仕様の場合は製作から輸送まで数か月かかることも珍しくありません。開業日から逆算して、建築会社や設備会社と早めに情報を共有しておくことをおすすめします。
サウナ導入前に確認したいチェックリスト20項目
ここまでの内容を、導入前に確認できるチェックリストにまとめました。設備の比較検討や、メーカー・施工会社との打ち合わせにご活用ください。
安全性
☐ サウナヒーターはPSEに適合しているか
☐ 設定温度に達すると自動で制御・停止するサーモスタットを搭載しているか
☐ 異常な高温のときに安全停止する機能があるか
☐ ロウリュの水が基板に入りにくい構造になっているか
メンテナンス
☐ ヒーターユニットやパーツ単位で交換できるか
☐ 消耗部品の価格を事前に確認したか
☐ サウナストーンの交換方法と交換時期を把握しているか
☐ 国内で迅速に修理・サポートを受けられる体制があるか
運営のしやすさ
☐ 温度・電源・スケジュールをスマートフォンやパソコンから遠隔管理できるか
☐ 複数施設を一括で管理できるシステムがあるか
☐ 利用データや稼働履歴を確認できるか
ランニングコスト
☐ 電気代の目安を確認したか
☐ 設定温度到達後に自動制御される省エネ機能があるか
☐ 消耗品(サウナストーン・ヒーター部品)の年間コストを把握しているか
建築・設備
☐ 電源容量(単相200Vなど)を確保できるか
☐ 排水計画に問題はないか
☐ 搬入経路と設置スペースを確認したか
☐ 製作・輸送期間を考慮したスケジュールになっているか
集客・販売
☐ サウナ完成後の写真・動画を撮影する計画があるか
☐ サウナを生かした販売戦略(OTA・Instagram・Google・自社サイト)まで設計できているか
まとめ ― サウナは「導入後の運営」まで設計して初めて資産になる
サウナを導入すること自体は、目的ではありません。本来の目的は、宿泊単価を上げ、稼働率を改善し、口コミを増やし、利益を残すことです。
そのためには、見た目や価格だけで設備を選ぶのではなく、次の5つまで含めて比較することをおすすめします。
● 安全性
● メンテナンス性
● 管理のしやすさ
● ランニングコスト
● 集客への生かし方
最終的に差がつくのは、設備の性能だけではなく、導入後の運営まで見据えて計画できているかです。そこまで考えて導入されたサウナは、長く施設の価値を高めてくれる大きな資産になります。特に複数の施設を運営する事業者様ほど、「管理のしやすさ」が将来の利益を左右するポイントになるでしょう。
弊社では、サウナの設備選びから、導入後の集客・運営改善まで含めたご相談を承っています。「どの方式・どの設備を選べばよいか迷っている」「サウナを集客にどう生かせばよいか知りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
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