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貸別荘の失敗事例|立地が良くても売上1,100万円まで落ちた理由と立て直し策

弊社グループはこれまで、100棟を超えるホテル・ヴィラ・貸別荘の企画・開業・運営に携わってきました。予約が取りにくい施設もあれば、「もう少し部屋数があれば」とうれしい悩みを抱える施設もあります。その一方で、数字を見るたびに反省させられる施設もあります。

この記事では、その中でも最も失敗したと考えている貸別荘を、売上の数字とともにご紹介します。これから貸別荘やヴィラの開発・購入を検討している事業者・投資家の皆様にとって、成功事例よりも参考になる内容かもしれません。

立地は関西でもトップクラス。それでも売上は大きく落ちた

施設があるのは兵庫県・淡路島です。貸別荘を経営する立地としては、関西でもトップクラスだと考えています。それでも、冬場には月間売上が20万円を下回ることもあります。

● 2024年:2棟合計 1,766万円
● 2025年:2棟合計 1,100万円

競争が激しくなる中で、この施設は競争力を失ってしまいました。自社で保有する物件のため会社全体への影響は限られていますが、「立地が良ければなんとかなる」という考えがいかに危険かを教えてくれた施設です。

失敗の要因1:デザインで勝負が決まっていた

この施設は、中古で運営されていた貸別荘2棟を約9,000万円で購入したものです。自社で企画した施設ではないため、設計の段階から関わることはできませんでした。近くで直営施設も運営していたことから、「まあ、なんとかなるだろう」という軽い気持ちで購入しましたが、この判断が一番の失敗でした。

住宅のような外観

一般住宅でよく使われるサイディング外壁で、高級感や非日常感を演出しにくいデザインでした。宿泊施設は、到着した瞬間に「泊まりたい」と思っていただけるかどうかが重要です。この施設には、その第一印象がありませんでした。外観が予約に与える影響については、「予約を動かす「見た目の力」― 最大の広告資産・宿泊施設の外観をUSPに ―」でも解説しています。

「家のお風呂」の延長線上の浴室

浴室はユニットバスで、どうしても「家のお風呂」の延長になってしまいます。冬になると、この差は本当に大きく効いてきます。「寒い時期だからこそ、このお風呂に入りたい」と思っていただける要素がありません。温泉を引く案もありましたが、建物全体の世界観が伴わなければ、温泉だけを追加しても大きな改善にはならないと判断しました。

小さな窓と狭いテラス

窓が小さいことも大きなマイナスでした。弊社が新しくヴィラを設計する場合は、できる限り7m以上の大開口を設け、室内とテラスが一体になって景色まで楽しめる空間をつくります。この施設は開口部が小さくテラスも狭いため、BBQのときに室内と屋外を行き来しにくく、開放感もありません。

失敗の要因2:「この施設に泊まる理由」がない

もっと根本的な問題は、「この施設だから泊まりたい」という決め手がないことです。率直に言えば、どこにでもある少しきれいな住宅という印象で、プライベートプールもサウナもありません。旅行に来ているのに自宅の延長のような空間では、お客様の心は動きません。

現在は愛犬と泊まれる施設として運営していますが、それでも稼働は低いままです。一方、弊社が運営する別の施設では、コンテナを活用した大きなドッグランを整備しました。投資額はこの施設の半分以下でしたが、売上はこの2棟を上回り、稼働率は90%を超えています。大型犬や多頭飼いのお客様から特に支持され、「ここに泊まりたい理由」がはっきりあるからです。

お客様は部屋を借りたいのではなく、体験を買っている。そのことを改めて実感しました。愛犬と泊まれる宿の可能性は、「愛犬家向け宿泊ビジネスの魅力|高収益モデルとドッググランピング成功事例」でもご紹介しています。

失敗の要因3:サービスを深められない

この施設は、もともと食事の提供を想定して設計されておらず、できるのはBBQ程度です。春から秋はそれでも一定の需要がありますが、冬になるとBBQをしない2人でのご利用が中心になります。その層に向けて「冬でも泊まりたい理由」をつくれていません。近隣からケータリングを手配しようにも、周辺施設の厨房機能が限られ、本格的な料理を提供することも難しい状況です。

もちろん、企業努力が足りないと言われればその通りです。ほかのプロジェクトを優先する中で、この施設の改善が後回しになっていました。

どう立て直すのか ― 成功事例を横展開する

この施設は、大きく方向転換することを計画しています。

● 2棟を一体で利用できるようにし、大人数向けのヴィラにリニューアルする
● 大型のプライベートサウナを設置する
● 片方の棟は愛犬同伴可、もう片方は通常利用とし、利用シーンを広げる
● ピザ窯や焼き芋つぼ、スモーカーなどの体験コンテンツを導入する

これらは、富士五湖エリアの施設で実際に売上の改善につながった施策です。その成功事例をこの施設にも横展開し、現在の約3倍の売上を目指します。サウナを導入して売上を大きく伸ばした事例は、「ヴィラのサウナ導入事例|オーベルジュヴィラ久遠の売上はどう変わった?【前年比データ公開】」でご紹介しています。

貸別荘の開発・購入で失敗しないためのチェックリスト

この失敗から学んだことを、開発や購入を検討する際のチェックポイントにまとめました。

☐ 外観は、到着した瞬間に「泊まりたい」と思える非日常感があるか
☐ 浴室は「家のお風呂」の延長になっていないか(冬に泊まりたくなる理由になるか)
☐ 大きな開口部があり、室内とテラス・景色が一体になっているか
☐ プライベートプールやサウナ、ドッグランなど「ここに泊まる理由」があるか
☐ 冬の2人利用など、オフシーズンの客層に向けた商品をつくれるか
☐ 食事を提供できる、または手配できる環境があるか
☐ 立地の良さに頼りすぎた事業計画になっていないか

まとめ ― 貸別荘経営は、設計の段階で勝負の半分以上が決まる

今回改めて感じたのは、「立地だけでは勝てない」という当たり前の事実でした。

● 住宅のような外観、ユニットバス、小さな窓では、非日常を求めるお客様に選ばれにくい
● 「この施設だから泊まりたい」という理由がなければ、立地が良くても競争に負ける
● 食事やサービスを深められない設計は、オフシーズンに弱い
● 改善は、他施設で成果の出た施策を横展開することで進める

貸別荘経営は、設計の段階で勝負の半分以上が決まります。中古の施設を購入する場合も、価格や立地だけでなく、その建物で「泊まる理由」をつくれるかどうかを見極めることが大切です。

また、多くの施設を運営していると、注目される施設とそうでない施設が出てきます。施設単位だけでなく、客室タイプごとの売上や稼働率を分析し、成功事例を横展開する仕組みをつくることも重要だと感じています。

弊社では、新規開発だけでなく、既存の貸別荘・ヴィラのリニューアルや売上改善のご相談も承っています。お気軽にお問い合わせください。

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